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家へ帰ろう / El último traje

日本語と英語のそれぞれ毎日のように否応無く眺めるニュースサイトで Albert Finney の訃報を目にして、Morrissey の追悼文(Morrissey Central / 2019年2月8日付)を読んで、私が生きている時代が移ろっていくというか終わっていくとか過ぎていくというか、そういう時間経過を否応無く感じさせられる。

Albert Finney について、1959年生まれのモリッシー先生がお薦めされる作品は 'Charlie Bubbles' だって。
1970年生まれの自分が思い出すのは 1974年版の「オリエント急行殺人事件」(ただし、リアルタイムでは観ていない)とか、晩年の作品に分類されるであろう「ビッグフィッシュ」のお父さん(ちょー、好き)。ちょっと世代差を感じさせられる。

そんなこんな、週末。

*

1月中に映画館での上映が悉く終わってしまったのだが、ご近所の映画館でアンコール上映が始まったので喜び勇んで行った。運が良かった。
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(C)HERNANDEZ y FERNANDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A.

アルゼンチンを旅行したばかりだからか、気になっていた映画。ただし主人公のお爺ちゃんは映画の始まりでとっととアルゼンチンから出国してしまうので、"あ、見覚えがある"と思った景色はほとんど出てこず。
ヨーロッパを西から東へポーランドを目指す旅の中で明らかにされるのは、88歳になるポーランド出身でアルゼンチン国籍のお爺ちゃんのホロコーストの体験、その後の生き様、兄弟のように一緒に過ごした筈の友人との約束。

独り暮らしの爺さんがどうしようもなく頑固でときとして周囲の人々と軋轢が生じるのは、よくある話。そんな頑固な爺さんが旅すると、出会った人々を魅了する素敵な振る舞いができてしまうのも、よくある話。そうやって頑固な爺さんと出会った人々との間には善き事ができあがっちゃうというのも、よくある話。
それら現象の一部始終を鑑賞している自分も、物語の終わりには頑固な爺さんが幸せになるよう願って祝ってしまいたくなるというのが、たいていの顛末。今回もその通りでした。

ホロコーストの記憶について語る場面。
父と伯父の最期・妹との別れについて、順序を変えて2回繰り返していた "no me lo contaron." "yo lo vi." の台詞には、他の登場人物と同様に絶句。"誰かに聞いたのではない" "私が見たんだ"主人公自身のその目で。
遠い国・地域での歴史として眺めるか?人類の教訓として捉えるか?たかが映画と思って観るだけか?


例によって"文化的・言語的な障壁を考慮して、読解力・考察力が最も低い観客に適合させました"的な邦題は、この作品についてはOKな印象。(外国映画の日本公開でしばしば起きる怪奇現象:あんまり物語の主題からかけ離れた邦題がつけられがちな傾向は、その事に我慢して自己解決できる強烈な洋画ファンしか付いていけなくなると思う)
原題(英題は直訳の 'The Last Suit')は、主人公が旅する"きっかけ"を表しているのだけれど、最後にはあっさりとした扱い。あんまりモノを象徴的に重々しく扱わないところがアルゼンチン人の気質なのかしらとか思ったり。ちょっとお国柄の違いを感じさせられる。そういう感覚を得られることが、面白いの。

*

12月にブエノスアイレスの街中をぐるぐる歩き回った時、セントロでたいへん立派なシナゴーグがあったのを思い出した。
ちょこっと調べてみたら、19世紀末に建造された"南米最大"の礼拝堂だって。
例によって宗教施設は苦手なので中へは入らなかったのだけれど、平日の日中に開いている博物館があってアルゼンチンにおけるユダヤ教の歴史・文化を知ることができるらしい。

かつ、ブエノスアイレスには、パレルモに"南米最大"のモスクもあった。モザイクな街。

…と、思い出してきたから、そろそろ旅行記を書こう。忘れ難い体験をいくつもしたんだから。映画をきっかけに、"やる気"になってきた。


by snowy_goodthings | 2019-02-09 15:30 | 鑑賞記

YUKIGUNI

1月は映画館で観たかった映画が何作品かあったのだけれど、ことごとく機会を逸した。
たかだか2時間かそこら、そのくらいの隙間時間を自分のものにできないのはいかんだろうってことで、出勤時間をズラして映画鑑賞。

たまぁに観たくなるのは、ドキュメンタリーというジャンルの映画。
カクテル「雪国」生みの親、山形県酒田市が誇る日本最高齢(大正15年生まれ!)の現役バーテンダー、井山計一氏の半生。
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(C)いでは堂

ポスターに書かれた "古びない「美しさ」や「愛おしさ」とは何か" はカクテルの話かと思ったら、ちょっと違った。
あんまり計算高くなく詰め込まれたエピソードの数々は、夫婦や親子の物語だったし、好きな事を極めて生きるために必死な職業人の物語だったし、地方都市の戦後の盛衰の物語だったし、いろいろ。それらシークエンスの数々の真ん真ん中で、バーテンダー氏は軽やかに飄々と振舞われていた。
驚異、60年を超えるキャリアのルーティン。



by snowy_goodthings | 2019-02-08 12:25 | 鑑賞記

欲望の翼 / 阿飛正傳 Days of Being Wild

デジタルリマスター版になって13年ぶりの劇場上映。
諦めかけていたけれど、「ブエノスアイレス」を観てブエノスアイレスにでかけた余韻ついでに行った。観た。2018年12月31日の上映終了前に間に合った。
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(C)East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited.

作品ができた時からの時間経過なりに自分も年齢を重ねているからか、過ぎ去ってもう決して戻らない時を振り返る感覚で過剰に感傷的な気分になってスクリーンを観てしまう。
したっけ、初めて観た時の「えぇっ?!」という驚きはそのまま。だから「懐かしい」というのとは、ちょっと違う。ふわっと面倒臭くややこしい感情がぐるんぐるん。



by snowy_goodthings | 2018-12-29 17:00 | 鑑賞記

マイ・プレシャス・リスト / Carrie Pilby

"What's so great about being happy anyway? There are some brilliant unhappy people. Kierkegaard, Beethoven, Van Gough... Morrissey!
Anyway, I'm not unhappy..."

キャリー君、
モリッシーさんも君と同様に自分を unhappy であるとは思っていないのでは?今の"いま"は…
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(C)CARRIE PILBY PRODUCTIONS, LLC.

上記の台詞を聞きたいがためだけに観たんだけれど、IQ185の頭脳を持って生まれて18歳でハーバード大学を卒業してしまって「やりたいこと」をみつけられない19歳の女の子の成長物語は、とっくに大学を卒業した大人の自分でも「そう思う時ってあるよね」と頷いちゃうのでありました。親や周りの大人に対して、級友や他の同年代の子供に対して、自分が暮らすコミュニティやもっと広い社会に対して、etc. 彼女のようになにもかも全部じゃなくっても「我慢できない」瞬間が、自分にも昔あったし今もあるもん。

映画は2016年制作。
でも大晦日で物語が終わるので、観るなら今週〜来週が良さげ。


by snowy_goodthings | 2018-12-22 21:00 | 鑑賞記

バーフバリ 伝説誕生 完全版 / Baahubali: The Beginning

何故だ。何度観ても、飽きない。
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by snowy_goodthings | 2018-11-06 22:00 | 鑑賞記

夏の夜は三たび微笑む / Sommarnattens leende

面白いベルイマン。
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「真夏の夜の夢」っぽい。
狭い箱庭みたいな世界の中で、男女が不始末を繰り広げているのを覗き見ちゃっているような…オイシイ傍観者感を堪能。




by snowy_goodthings | 2018-09-04 22:30 | 鑑賞記

アントマン&ワスプ / Ant-Man and the Wasp

o(≧▽≦) もちろん、モリッT着て観に行きましたとも。←お約束
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(C)Marvel Studios

「Captain America: Civil War」の顛末と「Avengers: Infinity War」でアントマンが呼ばれなかった理由がわかりやすく明らかになって、2019年公開予定の「Avengers 4」へとお話は続くと思われる。それらの事がよく腑に落ちたのは嬉しい。
で、ネタばらしにならない程度に疑問なんだが、アメリカ大陸:ニューヨークがふたたび異星人達の襲来を受けた後も、アフリカ大陸:ワカンダ王国で全宇宙の生命体の存亡をかけた白兵戦が繰り広げられている瞬間も、サンフランシスコでは日常生活が営まれていたのかしら。

虚構世界の不思議なスケール感。
(^_^) とにかく、面白がる。いつも以上に楽しかった。最近のヒーロー御一行様は、深刻なお話が多かったからさ。耳に馴染んだ人物の名前と歌とが流れてくるし。
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(C)Marvel Studios

最後の最後に引き戻されるけれど。その手前までは…
あ、今になって気付いた。モリッシー先生のあの歌は、最後の場面と妙な調和を成している。えぇっ?



by snowy_goodthings | 2018-09-01 23:50 | 鑑賞記

冬の光 / Nattvardsgasterna

またしても、イングマール・ベルイマン鑑賞。
摂氏35度を超える残暑のお昼に「冬の光」とは、神を恐れぬ愚行かや。
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映画の主題が「神の不在」と知っていたからそういう頭で取り掛かるんだけれど、異教徒の自分には信仰の葛藤に理解も共感も難しく。かといって、否定するのも見下すのもできず。
でもでも、最後の場面近くでの"受難"に関する会話がざくっと引っ掛かる。

したっけさ。
男は難しい。女は面倒臭い。ひどく大雑把な捉え方。


by snowy_goodthings | 2018-08-27 14:15 | 鑑賞記

第七の封印 / Det sjunde inseglet

また来た、地元の映画館でイングマール・ベルイマン。
観ることができる時に観ておかないと、きっと後悔する。←ほとんど、やけっぱち
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死ぬまでに大きなスクリーンで観ておけ、「第七の封印」。
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魂の救済をかけた対話に応じてくれない神様よりも、チェスに付き合ってくれる死神のほうが良いヤツじゃないですか。
死に絶える物語なのに、観ながら口元が緩んでしまうのは何故だ…震えながら笑ってしまうし、終わった後は肩の力が絶妙に抜けているし。なんというか、見事にやってのけたような到達感。変なの。


by snowy_goodthings | 2018-08-21 17:30 | 鑑賞記

野いちご / Smultronstället

おそらく、人類がある限り名作は不滅。地元映画館で、イングマール・ベルイマンを観られるなんてっ。
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掛かる映画の全部を観たいが、それは無理。
えいやっと、「野いちご」。
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自分が生まれる前に作られた映画作品であるという、時代変遷なりの価値観の違いへの違和感すら愛すべき"演出"めいて受け取れてしまう。白黒の画面が艶やかなこと、人物達が対峙する構図の端正なこと、夢と現とを行ったり来たりする物語の滑らかなこと、あれもこれも、なんでも素敵。


by snowy_goodthings | 2018-08-18 15:20 | 鑑賞記


日常瑣末事記録


by Yukiko

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