先生、教え子

再び来ました、香港文化博物館「武 ‧ 藝 ‧ 人生 ─ 李小龍」。
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今日はオットと一緒に来ました。
人間の増員に伴いヌイグルミも増員。らびさんはアメリカ生まれなんだが、我が家に来てからこれが初めての海外渡航だね。
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本当は昨年11月27日、ブルース・リーのお誕生日(満年齢で77歳、喜寿!)に再訪するつもりだったのが延びに延び、2018年7月20日までの会期終わり近くにやっと来ることができた…と思ったんだけれど、出発間際に博物館のサイトに追加された告知を見て動揺した。
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博物館延續李小龍傳奇!
「武‧藝‧人生 — 李小龍」展覽自2013年開幕以來,深受觀眾歡迎,平均每年接待六十萬觀眾。今年適逢李小龍逝世45周年,我們很高興與美國李小龍基金會達成協議,把展期延至2020年7月;同時,其他借出珍藏的海內外收藏家及相關機構,亦願意繼續支持展覽,讓李小龍的傳奇在香港文化博物館內延續,在此謹一併致以深切的謝意!
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没後40年を記念して2013年から始まった展示は年平均60万人を動員する人気を博していることから、2020年7月20日まで会期が2年間延びたそう。
あぃやー。もっと早くそう告知されていたら、都大会まで間近な時期に慌ただしく来る事はしなかったのに…とか恨めしく思いかけるのだけれど、自分が旅できる機会は限られているから。そういう巡り合わせだったと受け容れて、あんまり文句は言うまい。
(^_^;
一昨年「また来たい」と思った通りに再訪できた幸運を、まず喜ぶ。ついでに、また来るチャンスができたって良い方に考えてしまえ。

事実、また来た意味はあった。
前回観たときから何箇所か展示の配置・内容が変わっていて、初めて見た資料もあったし、見た覚えがある資料も此方の捉え方がちょっと変わってきているから見直せば新たな印象が沸いてくるし。

自分の記憶力って雑だなぁって思ったのは、お家を再現した本棚に三島由紀夫の'太陽と鉄'(日本語原書)があるのに驚きを覚えた時。この本は前に来た時も視界に入っていた筈なんだけれど、今日になってビシッと目に止まったのは2月にダブリンでフランス語訛りのカナダ人のお爺ちゃんに「君の名前は Yukio MISHIMA (三島由紀夫)と同じ韻の名前なんだね」と言われて以来、読書遍歴の記憶が地殻変動を起こして自分の頭ん中で"ミシマ"が浮上していたから。
自分にとって三島由紀夫は"文学"の人だったんだけれど、此処にあるのは、"鍛錬"の人としてかな、"思想"の人としてかな…わかりません。

船越義珍先生の'空手道教範'がある!…とか、空手か琉球古武術を修めていたら、もっと熱苦しく眺められたかもしれないんだけれど、それでも1冊ずつ背表紙のタイトルを読んでいくのが楽しかった。洋の東西を問わず、武術・格闘術いろいろ。日本刀の本とか。
(^_^) いつまで見ていても飽きない。

自分へのお土産に武術家としての李小龍の書籍「基本中国拳法」買った。中国語(簡体字)・英語でいろいろ増補されているから、時間はかかるが半分くらいは読めそうな気がする。
後ろのほうのページにある写真、真半身の姿が綺麗。
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もう1回できれば来たいと思った。2年後になる前に。


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博物館を出て沙田駅から東鉄線に乗り、山と村と高層住宅とが混ざった風景を眺めながら新界を北上、粉嶺駅で下車。
改札を出たら、通路のあちこちに中国拳法教室のチラシが貼られている。香港の人達の歩きスマホ率は凄まじく、日本以上に市民の電脳化は進んでいるようにみえちゃうんだけれど…フィジカルな稽古事の広報はWEBサイトやSNSよりもフィジカルな媒体を使うほうが効くのだろうか。
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さて、2回目の香港では此処に来たかった。
駅を出てすぐ真っ正面にある立派な道教寺院の隣にある狭い門「田心村 翁坑路」をくぐった、ずっと先。
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目指すは、詠春葉問宗師墓地。
英語表記の "GRAYE" はGRAVEのスペルミスと思われるが、無問題。何を伝えようとされているか、解ります。
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大問題なのは、視界が薄黒くなるくらいの勢いで群がって来る蚊。こうなる事を予想していたにも関わらず、昨夏に宗教公園五色園の薮を掻き分けた時に使った残りの強力虫除けスプレーをリュックに入れてくるのを忘れていた。後悔するというより、自分の凡ミスっぷりを恨むぜ。後退は無い。進むのみ。
ぶんぶん腕を振り回しながら、道を塞ぐ倒木・落ち葉を乗り越えて登り切った先に葉問先生はいらっしゃいました。少し離れた場所からもすぐわかった。
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葉問派詠春拳の宗師、"イップ・マン"こと葉問先生。
礼に則り、この人物について・生涯かけて伝承された武術について、解ったような物言いを一切致すつもりはありません。
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広東省に伝承される武術の使い手が故郷を離れた最初のきっかけが、日中戦争が始まってすぐに自宅・財産を日本軍に接収されたことだってのは"情報"として知っている。(大戦後には佛山へ戻ったが、国共内戦により香港へ渡ったらしい)それを最初に知ったとき私が思い出しちゃったのは、日中戦争の終わりに満州国(現:黒竜江省)にあった屋敷をソ連軍が司令部にするからと "Давай, Давай" と追い出されたって、いつでもつい昨日の事のように話す我が母の回想話。おかげさまで「私」という人間の中で極めて限定的に中国の東北部と南部とで因果が繋がっちゃっているのだが、実際にはお互いまーったく関係は無い。そんで、こういう昔話を教訓みたいに扱って賢いぶりっこするつもりも無い。
…とかなんとか、つまりただ「一代宗師」に会いに来たかったのです。合掌。

ちょっとでも静止していると蚊が寄ってたかってくるので、わずか1~2分ほどで退散せざるを得なかった。
この辺りにあるお家は涼を取るためか玄関も窓もぱっかーんと開いていたんだけれど、風と一緒に虫も入り込んでくるのは気にならないんだろうか。
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もう1回改めて来たいと思った。蚊がいない季節に、ちゃんと墓参の支度をして。


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乗り鉄して来た道を戻って、星光花園 Garden of Stars で「あちょーっ」な記念写真を撮る旅行者さん達を眺めて1日目は終了。
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木曜夜に道場での稽古が終わってから荷造りをして、夜更かしして「燃えよドラゴン」を観て、そのまま明け方のバスでYCATから羽田国際空港へ行き飛行機に乗ったから、たいへん今日1日を長く感じている。もとい、さすがに疲れた。そして眠い。


*


ぜんぜん蛇足なんだけれど、このたび香港へ来る前に知った事。
香港での葉問の武館は何度か移転していて、李小龍が修行した頃(1950年代)の建物は再開発により区画ごと無くなったらしい。油麻地駅の南東、Broadway Cinematheque って映画館がある辺りだったっぽい。←ただし確証無し




by snowy_goodthings | 2018-06-29 17:00 | 旅行記


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