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彼らが本気で編むときは、

何故だろう、途中からハラハラと泣きっぱなし。

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(C)「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

荻上直子さんの映画は、どれもこれも
"ほっこり系"とみせかけて、足腰どっしり据えて情け容赦なくヒトが生き抜く有様を物語ってくる。
この作品もそうだった。ただ、今までの作品よりも、うんと生々しく血潮を感じる。

たぶん、「ときどき間違える」登場人物たちの物語後の人生は薔薇色ばっかりではないと思う。
だからなんだ。他にどうしろというのだ。


観終わって、なまらビールが呑みたくなった。明日は切り干し大根を炊こう。うん。

by snowy_goodthings | 2017-03-19 00:00 | 鑑賞記

人生フルーツ

文化庁芸術祭「テレビ・ドキュメンタリー部門」大賞受賞作。
生粋の映画作品ではないのですが、
映画館のスクリーンでニコニコと微笑む英子さんと修一さんの暮らしぶりは、
素晴らしく端正な生き様の物語みたい。
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(C)東海テレビ放送

津幡修一さんは、
丹下健三に師事しアントニン・レーモンド事務所や大学教授の職を経て、
建築家から雑木林のお家で半農生活を営む "自由時間評論家" となったヒト。
妻・英子さんは、
収穫された野菜や果物を切ったり煮たり焼いたり、毎日丁寧な手料理を作るヒト。
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(C)東海テレビ放送

そんなおふたりの「年を重ねるごとに美しくなる人生」を、
最初は優しい世捨て人のスローライフのように眺めていたんだけれど、
その印象はちょっと間違いだったかも。
修一さんはずーっと、
自分がマスタープランを手がけたニュータウンの完成後の有り様を見続けていたし、
英子さんは
電車を乗り継いだ先の商店街と長年お馴染み、出来合いではない料理を作り続けていたし、
ご夫婦は台湾へ招かれるべくして出掛けていったし、
最後の佐賀県での建物設計のお仕事ぶりは活き活きとしていたし、
ぜんぜん隠遁者の暮らしではない…ずっと現役でいらっしゃった。


他人の生き様を覗いちゃって、
自分なりにその正当性の意味づけをするのが、ドキュメンタリーの妙。
自分がどんな意義を考えたかって、そんなに大層な事は思いつかないんだが、
観終わった後の心持ちは、たいへん柔らかくなっていた。


by snowy_goodthings | 2017-02-20 12:10 | 鑑賞記

ドクター・ストレンジ / Doctor Strange

too many heroes... そろそろ、お腹いっぱい。


3Dプロジェクションマッピングみたいな映像の中で、
泥臭い芝居をこなしてしまう役者さん達は見事。
でも、お話はあって無い…と、言ったら失礼かもしれないけれど、そんな印象。
悶々とした葛藤が似合わないお上品なヒト達は、あっさりと試練を乗り越えていく。
軽々と。

そりゃ、これは娯楽大作な映画なんだけれど。
この虚構世界の"肝"である不思議な東洋趣味に違和感を覚えてしまったから、もうダメだ。
相性が悪かった。ごめーん。←謝る必要はないんだけれど


そんなイケていない映画鑑賞体験でも、
良いなと思ったのは、かいがいしいマントちゃん。
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(C)Marvel

途中、何度か "Mister ではなく Doctor Stephen Strange" と名乗っていたけれど、
Mister Steve Strange といったら、↓このヒト。
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もうすぐ命日(12Feb.2015)。仏教的に数えると、今年は三回忌。





…ダメだ。
こうやって全然違う事を考えちゃう程度にしか、この虚構世界を眺められなかった。

_| ̄|○

こういう時もあるさぁ。


by snowy_goodthings | 2017-02-10 23:45 | 鑑賞記

幸せなひとりぼっち / En man som heter Ove

何故、こんな素敵な映画が単館上映なの?
今週は1日1回上映、かつ、今日で上映終了だもんで、仕方が無い。
午前中会社をサボって(半休を取って)観に行った。
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(C)Tre Vanner Produktion AB.

スウェーデンの何処か。オーヴェおじさんは59歳。
先立たれた奥さんを追って自殺しようとするのだが、
地区の住人達や野良猫のことだの、出掛けた先で遭遇する人々のことだの、
いろいろ気になって、なかなか死ねない。
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(C)Tre Vanner Produktion AB.

この偏屈で面倒臭いおじさんは、
最初から最後まで偏屈で面倒臭いまま。まったく変わらない。
自分のためじゃなくって自分が関わる人達のために「正しい事」が成されるよう、
時として無礼で乱暴なまでに振る舞う。
そんな彼を、素敵な奥さんは何故に愛したのだ?
ご近所さん達は何故に親しく付き合うのだ?
物語が進み、彼について知ると、すごい納得しちゃう。

家族、地域コミュニティ、難民・移民、ペット飼育、高齢者雇用、高齢者介護、都市開発、ホワイトカラーとブルーカラー、LGBT、バリアフリー、学校教育、孤独死、etc...
それと「巨匠とマルガリータ」。
スウェーデンという国は、これら「社会的問題」について模範的な実践ができている国だと
思っていたのに。そんな事はなかった。


2時間くらいの尺に、いろんな事物が見えてくる。
よくぞこれだけ詰め込んだもんだと思うくらい。
虚構世界なのに、現実がよく見えるような気分になる。
2時間くらしの尺しかないから、語り尽くされなかったというか、
途中で端折られちゃったシークェンスがあるような気がすごいするのだけれど、大丈夫。
察する事はできる。

なんてこった、
偏屈で面倒臭いおじさんのことを好きになって終わっちゃう。
大袈裟だけれど、人類の未来について希望をちょっとだけ見出したくなっちゃう。
頭ん中、ほわほわ。

午後から会社に行って、
上司に「この映画は良い」と薦めたのだが、今日で上映終了なんだった。勿体無い!


*


あぁ、そうだ。もういっこ。
オーヴェおじさんのSAAB愛が素晴らしい。
SAAB9-3カブリオレに乗りたかったオレは、ただただ、その事が羨ましかった。
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(C)Tre Vanner Produktion AB.

親友さんのVOLVOとの子供っぽい対決も、
その親友さんがBMWカブリオレに乗り換えた時の怒りっぷりも、
全部が可笑しかった。
他にも、Audi は "0(ゼロ点)が4つも並んだロゴ" の車であるとか…
ドイツ車は酷い言われっぷり。ありゃー
(^_^;

by snowy_goodthings | 2017-02-10 13:20 | 鑑賞記

こころに剣士を / Miekkailija

1950年代はじめ、ソ連統治下にあったエストニアの田舎であった実話だそう。
あの頃のソ連最高指導者は、スターリン。大粛清とか民族強制移住とか冷戦とかのヒト。
スターリンは1953年3月に死去するので、強権支配が終わり近い頃。
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(C)MAKING MOVIES/KICK FILM GmbH/ALLFILM


とにかく、可愛い。大人も子供もどっちも。
エンデル先生が指導者として目覚めて、子供達がフェンシングの楽しさに気付いて、
練習に夢中になっていく姿とか、もう、たまらん。
フェンシングが間合の武術と知って、めっさ痺れた。

でも、これはスポーツ根性物語ではない。

レニングラードでのフェンシング全国大会では快進撃の末、
大柄なモスクワの男子に、小さなハープサルの女子が挑むという、単純明快なメファー。
その試合に、その場にいた皆が熱狂して感動するなんてさ、
お約束すぎる展開なんだけれど、ぜんぜん嫌みじゃなくって気持ち良い。

最後のシークエンスはちょっと野暮だけれど、良いんだいっ。

突き抜けて、清々しい。



by snowy_goodthings | 2017-01-27 23:05 | 鑑賞記

皆さま、ごきげんよう / Chant d'hiver

オタール・イオセリアーニ監督作品を観るのは、これが初めて。

余計な理解・共感のおべっか口挿みなんて要らない。とにかく大人しく観ろ!って、
説教されながらお爺ちゃんの小噺を聞かされているような気分になっちゃう。

スクリーンに映し出された光景に対する良い間合に気付くまで、
最初の30分間は困惑や睡魔との闘いだった。
(^_^;
しかし自分の立ち位置を何処に置くか気付いたら、
途中からは「ふふふっ」と、まんざら悪くない心持で眺めていられるようになった。
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(C) Pastorale Productions- Studio 99

フランス革命の時代、
貴族のギロチン処刑に群がる女性達。
自分の目には南オセチア紛争のように見えた現代に近い時代、
民家を襲い金品を略奪し女性を陵辱する戦車部隊。
そして、限りなく"現在"である現代、時間軸は曖昧に繋がって
近隣住民を覗き見る警察署長とヴァイオリン娘と武器商人と頭蓋骨収集家と
若者の窃盗団と没落貴族と家を建てる男とホームレスと
マダムと異次元の住人と怒りっぽい彼女と…その他、いろいろな人達を対峙させる。

アクの強いというか、アクしかないような人物が大勢登場するというのに、
雄弁に何も物語られないという、不条理。

しかしながら、その理不尽な鑑賞時間の経過が素晴らしく心地良くなる。
皆さま、当たり前に生きている。
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(C) Pastorale Productions- Studio 99

観終わった後の印象は、悪くない。
どんなお話であったかは思い出せないのだが、いくつかの場面は頭の中で容易に再生される。

うぅーん、やられた。

by snowy_goodthings | 2017-01-26 21:05 | 鑑賞記

ドラゴン×マッハ! / 殺破狼II SPL2: A Time for Consequences

座席指定は完売、立見客も出た満員の映画館を体験するのは、小学生の頃みた「南極物語」以来だろうか。

カンフーを使うアクション役者が出るから、そのヒトを「ドラゴン」と呼ぶ。
ムエタイを使うアクション役者が出るから、そのヒトを「マッハ!」と呼ぶ。
そんな半世紀近く前の邦題センスがいまだ健在ったぁ、驚いたぜ。
(^"^;

ぜんぜん違うじゃーん、じゃーん、じゃーん。


原題は「殺破狼II SPL2: A Time for Consequences」、英語圏では「KILL ZONE2」。
ドニー・イェンとサモ・ハン(キンポー)、新旧アクションスタアが暴れた
「殺破狼 SPL/狼よ静かに死ね」からの連作だそうですが、物語に繋がりは無し。
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(C) SUN ENTERTAINMENT CULTURE LIMITED.

広東語とタイ語と北京語と英語と絵文字とが飛び交って、
邂逅したばかりの時は意思疎通不可だったのが、終盤にはなんでも通じ合っている。
香港アクション映画らしい、ご都合が良く荒唐無稽で雑で唐突な展開のお話。それが良いんです。
主たる舞台がタイって、まるで「ドラゴン危機一髪/唐山大兄」…じゃなくって、
舞台設定の必然性は最初はあったように感じる。しかし、最後にはファンタジーに化けちゃう。

名前がある登場人物達は、絶体絶命な状況でもしぶとい。
そこを斬られたら死ぬだろうって目に遭っても、
その惨状だったら死んでいるだろうって目に遭っても、生きている。
一方で、名前がない登場人物達は、使い捨てに近い死にっぷり。そんでもって、
生きているほうも、死んでいるほうも、とても痛そう。見ているだけで、痛覚が刺激される。
うぅ…
ヴァイオレンスは、壮快でも爽快でもないんだ。ただ、痛いんだ。

トニー・ジャーさんは仏像や象を守るためだけでなく、娘を救うためにも闘う。←お約束な反応
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(C) SUN ENTERTAINMENT CULTURE LIMITED.

物語を動かしていたウー・ジンさんは、
最初の登場シーンでの下衆っぷりは何だったんだろう?ってくらいに最後は良い男っぷり。
そんなに強いんだったら、潜入捜査官なんかならなくても良いのでは。←ツッコミたくなる
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(C) SUN ENTERTAINMENT CULTURE LIMITED.

そんな猛々しい主役2人に対して、
文字通り一糸乱れぬ端正なスーツ姿で応じる適役:マックス・ザンが美しいこと、美しいこと。
  彼は「一代宗師」の馬三だったヒト?
突く、蹴る、跳ぶ…そんなに動いているのに、何故に髪は乱れず着崩れもしないのですか。
最後の見せ場、"この画はいつかどこかで観たことがある" という感慨で
キラキラな格闘を眺めていて、悪役のほうが負ける気がしない。そのくらい素敵。

それと、ルイス・クーに見えないルイス・クー。サカモト教授みたいなルイス・クー。
このヒトが猛烈に恐ろしい。


ムエタイとカンフーについて、理合が"似ている"とか"異なる"とか、
そういう事も時々は感じたのだけれど、これは娯楽目的の虚構世界だから。
(^_^;
面白かった。上映館数の少なさが勿体無い。配給会社さま、頑張って。



by snowy_goodthings | 2017-01-09 18:40 | 鑑賞記

ローグ・ワン / Rogue One: A Star Wars Story

葉問の座頭市、強し。フォース要らないじゃん。←違う、違う、違う
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(C) Lucasfilm Ltd.

あんまりシリーズに愛着が無い自分も「おぉっ、凄い」と思っちゃう、
故人キャストのCGアーカイブ映像出演が印象的だった。

昨年末に観たシリーズ作品よりも、
チャンバラ映画っぽくって、カンフー映画っぽくって、あっけらかんと楽しかった。

by snowy_goodthings | 2016-12-31 23:50 | 鑑賞記

この世界の片隅に

自分の周りで評判がとっても良かったので、行って観た。観ることができて良かった。
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(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会


戦争のさなかであっても、当たり前に繰り返される日常がダラダラと淡々と営まれていく事について、
逞しさだったり、悲しさだったり、優しさだったり、いろいろ。ちょっと、驚いた。

大きな出来事の中で、
何かを成す事・全うする事を要求されるヒト達の生き様を観る"感動"とは違う。
そうではないヒト達の生き方も、強い。戸惑うような感触があった。

言葉の選び方は良くないかもしれないが、テーマは古臭い。しかし、その印象は瑞々しい。
今までなかった"思い"とか"考え"を、21世紀のいま生きている自分に与えてくれる。とても新しい。


by snowy_goodthings | 2016-12-15 23:55 | 鑑賞記

「信じる人を見る 宗教映画祭」裁かるゝジャンヌ / La Passion de Jeanne d'Arc

日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年映画ビジネスゼミ学生の企画・運営による
映画祭でカール・テオドア・ドライヤー監督「裁かるゝジャンヌ」がかかると知ってしまったので、
鑑賞。
YouTubeで探すか、販売されているDVDを買うかすれば、
いつでも観ることはできるかもしれないけれど、スクリーンで観られる機会なんて滅多にない。
これを逃したら、次はいつになることやら。だから行った。
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アンドレイ・タルコフスキー監督「ノスタルジア / Nostalgia」、
イングマール・ベルイマン監督「冬の光 / NATTVARDSGASTERNA」も観たい。
うぅ、しかし、ちょっと無理かな。


*


文字通り、"信じる人を見る" 思いをする作品でした。
絵画のような人間達のクローズアップの数々は、聖邪どっちも等しく美しかった。困惑するくらい。

完全な無声映画、すべての台詞を読ませない字幕。
こちらの鑑賞力に委ねられた余白がとても大きいので、観るたびに感想が変わっていきそう。
今日は映画祭のテーマそのままに「信心」の意味について考えが巡ったけれど、
もし、明日か明後日に観たら、「戦争」とか「権力」とかについて考えるのかもしれない。
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エレベータで、モリッ知り合いさんにばったり遭遇。
大阪公演の際、新大阪駅からIMPホールまでご一緒して以来の再会。
モリッシーのコンサートでスクリーンに投影された乙女の表情を擦り込まれたヒトが、
他にも来ているかもしれないね…なーんて、お喋りしながら開場を待つ間のロビーは、
ほぼ満員の大盛況。
貴重な機会だったのだと、しみじみ実感。行って良かったです。

by snowy_goodthings | 2016-12-12 14:05 | 鑑賞記


日常瑣末事記録


by Yukiko I. N.

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