潜水服は蝶の夢を見る / LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON

魂はいつまでも自由。
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(C)PatheRennProduction-France3



予告編の映像が綺麗だったので、観に行った。
雑誌「ELLE」は知っているけれど、それほどお洒落に関心があるわけでは無いので、
その編集長であった原作者であり主人公であるジャン=ドミニック・ボビーの事は
全然知らなかった。

43歳、働き盛り・男盛りの時に脳出血で倒れて、全身麻痺に。
動くのは左目を瞬きだけ。でもそれ以外は"ノーマル"。視力はある、聴力はある。
それと思考と記憶も充分すぎるほど。
…という状況を、この映画は
お涙頂戴な闘病記録にしないし、感動を煽る生命讃歌にもしない。

倒れる前は、お洒落で頭が良くて、気の利いたジョークを言うし、
溢れる愛情の念を家族以外の女性にも注ぐ、いやらしく粋な男盛り。
倒れた後だって、身体は動かなくても、思考や感情はそのままなのだ。

美人のリハビリ療法士を前にして口説けないから「拷問だ」と心の中で叫ぶし、
サッカー中継のテレビを消してしまう看護士に「チクショー」と心の中で毒づくし。
"患者=守るべき弱者"扱いする病院の人々を、冷めた(呆れた?)目で見ていたり。
(^_^; 体を病魔に蝕まれたからって、心までは縛られない。

"潜水服"は自由に動けない今の自分、
"蝶"は時空を超えて自由に想像の羽を広げて飛ぶ事ができる今の自分。
その想像力がとても情感豊か。

現代美術家でもある監督の作なので、映像は本当に綺麗。
ドキュメンタリーというより、実在の人物を借りた監督の表現作品という感じだけれど
イヤミにはなっていないと思う。
いくつかの事実改変も、主人公が魅力的な人物だからこその脚色では?
観終わった後はとても清々しかったから。


by snowy_goodthings | 2008-02-11 16:00 | 鑑賞記


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