If Music Be The Food of Love, Play On.

フェスで歌う Morrissey を観てみたかったのです。

日本のフェスだって滅多に行かない、人混み大嫌いな自分が海外フェスなんて大丈夫だろうか…
だもんで、ヨーテボリでの Way Out West Festival は、あっさり断念。
スウェーデンへは、いつか出稽古しに行きたい。

ヘルシンキで開催される Flow Festival 2016 へ。
Morrissey が目的の旅であるので、
Morrissey で締め括るべく、金曜~土曜の 2-Days チケットで行ってきました。
旅の主旨に照らせば、土曜のみ 1-Day で良かったのだけれど、金曜も。
  これも巡り合わせ、1人だけ生身の姿を観たかったヒトがいた。 ←きっと、わかるよね

ヘルシンキ中央駅から徒歩でも行ける場所にある、火力発電所 Suvilahti 跡地 で繰り広げられた
フェスティヴァルは、広い場所に様々な国々から老若男女が集い、それぞれの楽しみ方で、
いろんな音楽・アート・トークセッションに触れたり、酒を呑んだくれりするという、お祭りだった。

日本のフェスに対する印象:良く言えば「真剣に必死な」、
正直に言えば「通勤ラッシュみたいに殺伐とした」雰囲気とは対極。 (^_^;
私は、Flow のほうが断然好き。


…ともあれ、まずはなによりも。
Flow Festival 2016 2日目(Saturday 13.8. )
Lapin Kulta Red Arena のトリを飾った Morrissey のこと。
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23時、M83 のショーが終了。
妖精さんのような女の子達が柵向こうから荷物を引っ張り上げ
"Bye" と後ろへ去っていったと思った次の瞬間、どっと後ろから押された。
後ろを振り向いたら、テントの中は既に入り口からの外光が細長くしか見えないくらい、
人が溢れている。

18時少し過ぎからずっと見聞してきた、
Lapin Kulta Red Arena に登壇した他アーティストとは異質な聴衆の密度。
スタヴァンゲルでのオールスタンディングよりも、周りがうんと近い。
いちおう、自分の足でちゃんと真っ直ぐは立っていられる。
知らないヒト達が自分の間合いの内側まで入ってきているのは、ちょっとした試練であるが、
耐えてみせる。

ものすごい勢いでステージの撤収&建て込みが進み、23時半頃からプレショービデオが
流れ始めたけれど、ステージはまだお掃除中。
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慌しいけれど、FlowスタッフとMorrisseyクルーが入り乱れて働く光景はお見事。
眺めていて、楽しい。

開場すぐからステージ柵前で「地蔵」のようにじっとモリッシーを待ち続けていた人達のすぐ後ろ、
地元っ子かなぁ…ちょっとわからないけれど、
明らかに話し言葉が英語でない20代前半くらいのちょっと太めの女の子2人組と、
ひょろっと細長い女の子1人に囲まれたというか、挟まれた。たぶん、地元っ子だと思う。
"Morrissey" の発音がちょっと変で、日本人が舌を巻いて "モリシィ" と言うのに似ている。
むちゃくちゃガーリィな女の子達。可愛い。
目が合うとニッコリ微笑んでくれるんだけれど、そうされると、自分が恐ろしく老けた気分になる。

もう1回ぐるっと見回してみて、私がわかる限り、最前列の7~8人以外は全然見た事がない人々。
おぉ…フェスっぽい。 (^o^)
すぐ後ろからはドイツ語が聞こえる…いや、もしかしたら、エストニア語かもしれない。
そして、ロシア語も聞こえる。


0時、お伽噺ならば魔法が解ける時刻に魔法の時間が始まりました。
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"Hello, Flow!" わぁ…すごい力強い声。
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テントとはいっても壁が抜けた半屋外であるので、音響は屋外並みの大音量。
高い天井に柔らかく反響して、モリッシーの声がよく響く。
お空がひっくり返って落ちてきたみたい。

"And you know... you know very well, I love this city more than I love FOOD."
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あはは…
でも先生、その後のお喋りで"スウェーデン"とか”Tack”とか言っていたような気がする。
(聞き間違いだったら、ごめんなさい)気にしない。

  脱線するけれど、ヘルシンキ市街地には、
  ↑自分がヘルシンキに来た理由はこれもある(ちょい仕事絡みの好奇心から)
  ひき肉、ザリガニ、鮭、ついでにトナカイが伝統料理である北欧食文化圏において、何故?
  フィンランドが "スカンジナビア諸国" に一括りされない背景は一夜漬け的に勉強してきたから
  知っているのだが、なにか関連あるの?
  そして、Flow Festival が Morrissey に捧げた渾身の Vegan 屋台は、
  当たり前のように美味しかったです。
  この街の、"そう在るのが当然" 的な多様性への寛容さは、何故?


曲間のお喋りは切れ味良好。
自分の耳にはCDやレコードでは取っ付きにくい"壁"を感じた、
'World Peace Is None of Your Business' というアルバムおよびそのタイトルソングに対して、
血が通った温度を感じるようになったのは、
コンサートでのこれら「語り」を聞いたからかもしれない。
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先生を追いかける道中での様々な体験も影響しているんだけれど、
やはり、どうしても、歌い手ご本人の口から出てくる言葉がいちばん響いている。
"Well, of course, the golden rule, the golden rule,
Don't, Don't, Don't let the political class lord the game..."
この後に続く言葉に鼓舞されて、聴衆の歓声もテントを突き破りそうに轟く。
自分も叫んじゃっていた。
自分には、このヒトの真意は解りかねる。でも、自分はこのヒトの存在を知っている。
そんな自分は、今や無敵。そんな気持ちになっちゃう。

Meat Is Murder 、ヘルシンキ市の公用語はフィンランド語とスウェーデン語だそうですが、
最後の問いかけは フィンランド語。"Liha on murha"...
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MiM の後、Gustavo のカデンツァ的ピアノソロが流れていた時、
右後ろから "助けて" みたいな声が聞こえてきたので振り返ったら、
真っ白な顔した女性が男性に抱えられている。その傍らにいた女性に
"あなた、お水を持っている?" と聞かれたのだが、私は午後ずっと断食・断飲中。
申し訳ない。
"セキュリティが水を携帯しているから、それを貰うと良い" という意味の事を誰かが言うのが
聞こえてきて、周りの人達と一緒に柵まで彼女を押してセキュリティに助けてもらった。

Everyday Is Like Sunday のイントロを聴きながら、
私は全然知らない彼女の背中をさすっていました。
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私の前後の女の子達が瞳をキラキラ輝かせて
"Come, come, nuclear bomb" と合唱するのを呆然と眺めていました。

そして、ステージ上でなにやら打ち合わせが始まったのを
ぼんやり眺めていました。あぁ…もしかしたら、もしかしたらさ。
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"Ah, we've been told we have to go now..." 
わぁーんっ!ヘッドライナーでも Flow Festival 1時間仕様なんですか。
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誰も止めなかったら、そのままフルセットやっちゃいそうな勢いでした。
流石、Boz さんは、クルーよりも、セキュリティよりも、時として
Morrissey ご本人よりも、ステージで起こる事をうんと冷徹に掌握しているようにみえる。
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最後の挨拶は、
"And… Thank you for everything you give and believe me.
Please remember... whatever happens, I love you."

自分が "I love you" なんて言葉を口にするのは照れ臭い。
2015年は、何度も "さようなら" と言われた。2016年のお正月にも、そう言われた。
それに対して、いち聴衆である自分ができるのは、"ありがとう" と感謝の言葉を述べる事。

ベルゲン公演からずっと考えていたのだけれど、
モリッシー先生からあんなに "ありがとう" と言われてしまったら、
聴衆はどんな言葉を返せば釣り合うんだろう?
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最後の Irish Blood, English Heart は自分の記憶だと、
ずっとモリッシーは祈っていたようにみえたのだが、帰国してから Youtube で見たら、
数小節の間だけだった様子。

自分のとんでもない錯覚?例によって、またしても、歌の世界に呑まれていたのだろうか。
こういう喩えはしないほうが賢いのかもしれないけれど…まぁいいや、
傷だらけで汗みどろになった、聖人のような善き人が目の前にいた。この瞬間は…
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語彙が無いから、ぜんぜん返す言葉が思いつきません。
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やっぱり、これしか言えない。
(;_;)
Thank you for everything, Mr. Morrissey.


1時間という短い構成でしたが、それって、なんだか、子供の頃に
お小遣いを貯めてやっと買ったお気に入りのアーティストのLPレコード1枚を、ワクワクしながら
聴いたのに似た時間感覚。
そして、シングルレコード1枚のA面とB面、同じ曲を繰り返し聴いても、
聴くたびに新しい印象が沸くのとも似た感覚もあった。

短かったからこそ…かもしれない。
振り返ると、ぎゅーっと一瞬一瞬が大事な体験に感じられた。

で、
やっぱり思ってしまう。空から降ってくるような、あの声をずっと聴いていたかった。
そう思うのは、セットリストが短かったからではないのです。
たとえば、もしコンサートが3時間続いたとしても、そう思う筈。

そして、何度だって聴きたいんだ。いつもそう。
今日もそうでした。やっぱり、そうだった。

Intro: The Operation
1. Suedehead
2. Alma Matters
3. You Have Killed Me
4. Ganglord
5. Speedway
6. You're The One For Me, Fatty
7. Øuija Board, Øuija Board
8. I'm Throwing My Arms Around Paris
9. World Peace Is None of Your Business
10. Kiss Me A Lot
11. The Bullfighter Dies
12. Meat Is Murder
13. Everyday Is Like Sunday
14. Irish Blood, English Heart
Outro: Death

    撮り散らかした写真は Flickr (←Click) にストレージしてある。
    "撮った"というより"撮れた"写真ばっかりです。
    見る・見ないはご随意にどうぞ。
    私は写真撮影のプロではないが、素人平均よりも巧い事は自覚している。
    醜い写真は無いつもり。


*


「やっと会えたー」とはしゃぐ北欧の人達に対し、少しだけ後ろめたい思い…
自分には、今年まだモリッシーを観る・聴く機会がある。9月末に
"4年半ぶりとなる待望の来日公演"って予定が。

イギリスからみたら、ユーラシア大陸の向こう、極東。
来日直前の公演地:アメリカ東海岸からみたら、大西洋とユーラシア大陸の向こう、極東
(アメリカ大陸と太平洋を挟んだ向かい、といえば近いかな…いや、やっぱり遠い)。
日本こそ "世界の果て" だ。此処にはるばるモリッシーが来る。

国内およびヨーロッパ全域のみならず、世界中から聴衆が集まるイングランドでは
2016年はマンチェスターで1公演しかやらないと宣告されているのに。
日本では3都市を巡り4公演も開催される。なんというご厚遇。
そりゃ、全公演を追いかけるってヒトもいるだろうから、
純粋動員数はマンチェスターに比べたら半分にも満たないかもしれないけれど…自分もそうです、
ごめんなさい。
でも、パスポートを持たずにモリッシーを追いかけられるって事が、猛烈に嬉しい。

何回、感謝の言葉を述べたら釣り合うだろう?今から毎日 "Thank you for everything" を
言い続けたとしても、ぜんぜん足らない。

そんでもって、これが "最後" だなんて、私は思っていない。
そう思ってしまったら、嘆いて、不満を述べて、愚痴をこぼして、自分を甘やかしそうだ。
それは嫌だ。それだけは嫌なのです。


自分がモリッシーを「待つ」なんて、畏れ多い。今この瞬間は、そういう結論に辿り着きつつある。
だから、2016年が終わった後も、また旅に出たいと願っている。行けるかな。



by snowy_goodthings | 2016-08-14 01:05 | 鑑賞記


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by Yukiko I. N.

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