キングスマン / Kingsman: The Secret Service

「Kick-Ass」の監督作だっていう色メガネで観てはいけないんだけれど、
往年のスパイ映画についての言いがかりめいた賛辞とか本歌取りとか
階級とかガイア理論とか政治とかのモチーフの皮を剥いでしまうと、

物語の展開・構造はまるっきり「キック・アス」。
情け容赦無く踏み台となる魅力的なメンター、
選ばれし冴えない若者が成長して
"友情・努力・勝利"する。安定のヴァイオレンス、まったく期待通り。


でもなんか、
仰々しいウソっぽさと裏腹にうっすら実感を伴うリアリティが無くもない
というお話なんだけれど、掴みきる寸前に抜け落ちて行く。

クライマックスの「威風堂々」が流れるシークェンスは、
欧米人の考えそうなこったな演出でくだらねぇ…と思ってしまったのが
正直な感想。
その土壇場でそんなメタファーなお絵描きは甘い、甘すぎる。
もっとできるでしょう?できないんだっけ?

…と思ってしまう自分の感覚には、
その前の教会での"普通"の人々が"まさか"の事態となる場面のほうが好きです。
好きって、語弊あるけれど。
e0076761_01503294.jpg
(C)Twentieth Century Fox Film Corporation

キレッキレに汚いものがこれでもか、これでもかと生々しく剥き出し。
育ち良い大人がきっちり良い仕事する場違いな光景に
みてはいけないモノを見てしまったような思いでオロオロするんだけれど、
延々と続くソレをみていると、だんだんと違う感情も湧いてくる。
すんごい後味悪い。だから、印象にどろっと残る。

したっけ、そこまでイヤな思いをさせておいて、
明るく吹き飛ばそうとする終盤の展開には腰砕ける。たまたま
自分が嫌いな表現だってだけなんだけれどさ。地雷を踏まれた。


あ、
途中で姿を見なくなってしまったワンワン達の消息は気になる。
それも引っ掛かる。


面白かったんだけれど、この虚構世界を愛せるかというと厳しい。
(^_^;
いろいろ出てきた面白かった事物が、膨らむかと思ったら萎んでいった。


何故か「アナザー・カントリー」を観たくなるのでした。げしょ。



by snowy_goodthings | 2015-09-19 23:50 | 鑑賞記


日常瑣末事記録


by Yukiko I. N.

プロフィールを見る