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はるか昔、レコード店でみかけた
太ゴシック&行書体で「肉喰うな!! THE SMITHS」って邦題の帯が恐ろしくて、
遠めの間合いであまり聴かないようにしていたのは、The SmithsとMorrissey。
自分もオトナになったんだし、向こうもおじさまになったんだし、
大丈夫だろうって聴き始めたら、綺麗な声が、
恐ろしく耳に心地良いこと甚だしい。
驚いた。

思春期での反抗や青年期のモラトリアムとか、階級や政治経済の歪みとか、悶々とする年齢の頃に
自意識を重ねて熱狂するのが相応しいアイコンであると思っていたから、
まさか"守り"のサラリーマンになって、これまた"守り"の壮年期になってから響くなんて。
驚いた。

なんだかね。なんというか、
大人になるって、世間の荒波にさらされて丸くなるものかと思ったら、さにあらず。
肥大し続ける自意識はますます尖り、周囲の人々とド突き合う修羅場となる。
ただ、痛々しいってだけではないような。時に滑稽でもある。
もう若くはないから、"若気の至り"な悲壮感はない。
ややこしい。


したっけ、
休日出勤してもはかどらない仕事を途中で押しのけて行ってきました、
Morrissey Japan Tour 2012 CLUB CITTA' KAWASAKI。
妙な脅迫観念にかられて行ってきましたよ。えぇ。これこそ自意識過剰。
これで一人前の聴き手。←ぜんぜん違う
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観客の頭上でユラユラと花がそよぎ(美しい)、
オッサンの怒号のような歓声が飛び交い(恐ろしい)、
ステージによじ上って抱きついた女性へ御大が賛辞を贈られたり(そうなんですか)、
携帯やスマートフォンでステージを撮りまくったり(良いんですか)、
…今まであまり観た事がない、コンサートの光景。

ああ、良い年したオトナで、良い年になったコドモ。

初めてナマ身の肉体を伴った姿で拝見したM御大は、
頻りに詩とも世辞ともネタともつかぬ言葉を投げかけたり、
観客にマイクを向けて会話を仕掛けたり、汗ばんだシャツを脱いでは投げたり、
フランクというか、フレンドリーというか、無頼漢でジェントルマン。
この表現が適切かは不明。たぶん、まだなんにも解っていない。

誰にともなく周囲にどっと陽の"気"を惜しみなく吐き出すヒトに出遭ったのは、
これが自分の人生では2度めくらいの体験。どばっと浴びてしまった気がする。
驚いた。
オーラとか、ぜんぜん目には見えないんだけれどさ。感じがするのです。
とんでもないヒトを見てしまった。こんなヒトがいるなんて。


後方のいち観客として、
「桜」とか「六本木の綺麗な家」とか、ウィットがさっぱりわからず
気の利いたリアクションを返せなかった事が悔やまれる。
「Sexy Zone」とか言われても、オレ芸能ネタに疎いんだもん。
ごめんなさい、モリッシィ。


会場ごとにセットリストが微妙に異なるそうで、川崎では以下の通り。
1 You Have Killed Me
2 Alma Matters
3 You're The One For Me, Fatty
4 How Soon Is Now ?
5 Ouija Board Ouija Board
6 I Will See You In Far-off Places
7 Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me
8 I'm Throwing My Arms Around Paris
9 Action Is My Middle Name
10 Speedway
11 Meat Is Murder
12 Everyday Is Like Sunday
13 Still Ill
14 People Are The Same Everywhere
15 Let Me Kiss You
16 To Give (original: Frankie Valli)
17 Please, Please, Please Let Me Get What I Want
18 First Of The Gang To Die
enc: One Day Goodbye Will Be Farewell

かなり出遅れた聴き手なので、最近のソロ楽曲多めの構成が嬉しかった。
(いちばんよく聴いていたアルバムが「Years of Refusal」だもん)
アンコールの曲の歌詞は、(年齢的に経験的に)他人事じゃないから、
涙腺が緩むなんてことじゃ済まぬ。胃が痛むこと甚だしい。


あぁそうだ。"STILL ILL"の有名な一節:
 ENGLAND IS MINE AND IT OWES ME A LIVING
 (イングランドは僕の国だ、僕の生活を保障する義務がある)
の真っ青なTシャツ、買ってくれば良かったな。この事も悔やまれる。


また来てください。いや、もう1回行きます。←日本語で書いても伝わらないって(^_^;

by snowy_goodthings | 2012-04-21 19:30 | 鑑賞記


日常瑣末事記録


by Yukiko I. N.

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