黒蜥蜴

江戸川乱歩の推理小説を三島由紀夫が戯曲化した「黒蜥蜴」。
今や美輪明宏が演じる「黒蜥蜴」以外に想像できないけれど、
舞台初演では水谷八重子が演じたそうだし、
大映で最初に映画化された「黒蜥蜴」では京マチ子がムチを振るっていた。

だがしかし、やっぱり、
黒蜥蜴は美輪さま(当時は丸山明宏)に"当て書き"されたんじゃないかって思ってしまう。
やっと初めて映画版を鑑賞して、その印象がさらに強まる。
容姿や衣装が綺麗というだけでなくて、
ちょっとした仕草、三島文学的な無駄がないのに華やかな言葉遣い、
いちいち大仕掛けな行動のどれもこれもが、そのヒトにぴたっと吸い付いた様。

明智小五郎が登場するけれど、推理モノじゃなくって、
男女の愛と正義とが真っ向真剣勝負するメロドラマ。どっちもしなやかに強い。
「そして最後に勝つのはこっちさ」の台詞に痺れた。
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(C)松竹株式会社

1968年の日本映画ってこうだったのか…と思うキッチュさ漂う演出が所々あり、
時代を超えた名作にはなりきれないのかもしれない。
でも、カラーなのにモノクロの雰囲気が漂う画面構成は絵画のように斬新で美しい。
とんでもない映画。


三島由紀夫氏の特別出演は、
真剣にナルシスティックな遊びにも見えて、クスッと笑ってしまう。
2年後にその肉体をかっ捌いて果てるとはとても思えない。
この辺り余計に考えてしまうと、ちょっとしんどいので、エポケー(判断停止)。
by snowy_goodthings | 2011-05-21 20:30 | 鑑賞記


日常瑣末事記録


by Yukiko I. N.

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