「国民の映画」

戦後最大の非常事態…といわれるさなか、
芝居を観るなんて"道楽"をしていーんだろうか?って、疑問がちらとも
過らなかったかといえば嘘になる。でも、観に行く事に迷いはなくってさ。

舞台からお芝居を取ったら、何が残るのだ?
映画館からフィルムを取ったら、何があるのだ?
シェイクスピア先生いわく、Show must go on。
己の役割をやりきるって素晴らしいじゃないですか。観客って役割を果たすべし。

…なぁーんて、仰々しく考えすぎる事はなかったんだけどね。
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 1941年のドイツ・ベルリンを舞台に宣伝大臣ゲッベルスと映画人たちとの間で
 繰り広げられる人間ドラマ。
 芸術と権力の狭間で葛藤する人々を描く群像劇がここに誕生!


…というキャッチコピーの意味するところが解るのは、お芝居の最後のほう。

1幕めは滑稽にクセある人々がワラワラと好き勝手に動き回る、喋りまくるものだから、
2幕めで愉しげな雰囲気が崩れ、
「人間」としての正義、「映画人」としての正義、「政治」としての正義が
三竦する様子が明らかになっていく過程には、ジンジンと戦慄くばかり。

登場人物の中で
無邪気で天然で"優しい人"に思えるマグダ・ゲッペルス夫人が
劇中最も残酷な台詞を吐くし、
いちばん忌み嫌われる立場のヒムラーがいちばん真面目に仕事をしているし。
人間とは複雑怪奇、難解至極、いと面妖。
by snowy_goodthings | 2011-04-01 22:00 | 鑑賞記


日常瑣末事記録


by Yukiko I. N.

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