オーケストラ! / Le Concert

一曲の中でいろんな展開や変化が起こる、交響曲のような映画。
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(C) Les Productions du Tresor


ソ連共産党の専横に抵抗して音楽家の職を奪われた主席指揮者、
ブレジネフ政権の迫害でオーケストラを追放されたユダヤ人、
ユダヤ人と同じく放浪の民であるロマ族、
真っ赤に輝いた時代を忘れられない共産党員、
etc…と、
さまざまな過去を背負い、とっくに青春が終わったおじさん・おばさんが、
古巣:ボリショイ交響楽団になりすましてパリ公演に旅立つ。

それだけで痛快なんだけれど、
彼らが再びコンサートをする事には、
彼ら自身もほとんどが気付いていなかった深い意味がある。

すべてが判明するのは最後の最後、登場人物全員の想いが交錯する
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(ニ長調Op35?)。
原曲を短くしているらしいが、これがすごい。言葉以上の説得力。
喜劇で始まった筈なのに、気がつけば過ぎ去った時代の悲劇に泣かされた。

チャイコフスキーに取り憑かれた音楽家たちのお話なのだけれど、
スポ根みたいな音楽漬けな葛藤はほとんど無し。
むしろ、ちゃらんぽらん。
なのに、息をするのと同じくらい自然に音が奏でられる。
ちょい出来すぎだけれど、過去の鍛錬があるからってことなのか。
音楽とは、音を楽しむものであり、楽に音を出せるようになるものなのか。
音楽を奏で、人生を謳歌する姿は、理屈抜き&文句なしに幸せそう。


ロシア語・フランス語ちゃんぽんで、
笑うにも泣くにも、おフランス映画的な説明の省略・難解さ・深読みは無し。

ラデュ・ミヘイレアニュ監督は、ユダヤ系ルーマニア人で
チャウシェスク政権下に亡命、フランスで映画監督になったヒト。
だからか、
"体制"的なものの揶揄しっぷりがものすごいのだけれど、
それだけでなく、
オーケストラ団員とその家族達の描写も、
ステレオタイプな"ユダヤ人"イメージを情け容赦なく誇張した
風刺画っぽくて仰天した。
お金の話が好きなアジア人とか、ロシア大富豪も良いやられっぷり。
(^_^;


もう1回、大きな画面で観たいけれど、行けるかなー。



by snowy_goodthings | 2010-04-21 22:20 | 鑑賞記


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by Yukiko I. N.

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